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第4回採択者 原田 美沙

15秒で伝わる「事業ピッチ」の型とは。ビジネスポート勉強会レポート

15秒で伝わる「事業ピッチ」の型とは。ビジネスポート勉強会レポート

自分の事業を短い時間で説明しようとすると、つい言葉が長くなってしまう。そんな経験はありませんか。交流会や自己紹介の場で「結局、何を伝えればいいのだろう」と迷うことは、起業初期の方にとってよくある悩みのひとつです。

先日、私が参加しているビジネスポートの女性起業家応援プロジェクトでは、まさにこの悩みを解決する「事業ピッチ」の勉強会が開かれました。ピッチとは、短い時間で自分のビジネスの魅力を伝えるプレゼンのことです。

当日は、以下の2つをテーマに学びを深めました。

  • 15秒で伝わるピッチの型
  • AI(人工知能)を使った言語化・資料作成のヒント

私は千葉市・幕張を拠点にホームページ制作の仕事をしていますが、この日学んだ内容は、業種に関わらず役に立つものでした。勉強会の内容を参加者の一人として振り返りながら、事業ピッチを考えるときに大切なポイントをご紹介します。

講師は、ファッションテックの最前線で活躍するクリエイター

今回の勉強会で講師を務めてくださったのは、Olga(オルガ)さんです。ファッションテック(ファッションと最新技術を組み合わせた分野)の最前線で活躍されているデザイナーで、株式会社ishの代表取締役を務めています。

Olgaさんは、ロンドンの大学院でファッションとテクノロジーの関係性を学び、帰国後にご自身のブランドを立ち上げました。現在は、共立女子大学の准教授、デジタルハリウッド大学の客員准教授として教壇に立ちながら、デザイン会社ishを経営されています。ものづくりと伝え方の両方を知る方だからこそ、「想いと強みを、短い時間で伝わる言葉に変える」という今回のテーマに、説得力がありました。

15秒ピッチは「型」で整えられる

勉強会の中心になったのは、15秒で伝わるピッチの標準型を学び、実際に声に出して練習することでした。

  1. 問題提起(相手が抱えている困りごとから始める)
  2. ターゲット(誰に向けたものか)
  3. 提供価値・差別化(何を提供し、どこが他と違うのか)
  4. 信頼の根拠(なぜそれが実現できると言えるのか)
  5. なぜ自分なのか(自分の原体験や使命)

この型に沿って考えると、自分の事業をただ説明するのではなく、相手に「これは自分に関係がある」と感じてもらいやすくなります。

実際に声に出してみると、頭の中では整理できているつもりのことも、15秒にまとめるのは思った以上に難しいと感じました。特に印象に残ったのは、「自分が何をしているか」よりも「相手にとってどんな意味があるか」を先に伝える、という考え方です。

ピッチを設計する3つの考え方

勉強会では、ピッチを組み立てるときの考え方も共有されました。私のように人前で話すのが得意ではない人にも、指針になる内容でした。

① フックを最初に置く

最初の一言で、相手に「それ、私のことだ」と感じてもらう——これを何より優先します。自分の事業の説明から入るのではなく、相手の困りごとから入る。そうするだけで、会話がぐっと始まりやすくなります。

② ペルソナを実在の人物レベルまで絞る

届けたい相手を、実際に存在する一人の人物のように細かく思い描きます。どんな生活をして、どんな媒体を見て、どんな言葉を使い、どういう流れで購入に至るのか。ここまで絞ると、伝える言葉が自然と定まり、営業にかかる手間も減っていきます。

③ 意思決定者の判断材料を示す

「同じような商品やサービスが世の中にたくさんある」のは、裏を返せば、それだけ市場があるということ。そのうえで、費用に対する効果・リスク・再現性といった、決める人が気にする材料を、こちらから先に差し出す。

相手が判断するときに知りたいことを先回りして示すことが、信頼につながっていきます

AIツールをどう使うか

もう一つの大きなテーマが、AIツールの実務的な使い方でした。普段からパソコン作業に時間をかけている私にとって、特に参考になった部分です。

会話しながら案を磨くChatGPT・Gemini

ChatGPTGemini(どちらも対話型のAI)には、あらかじめ自分の会社情報や事業内容を設定として登録しておきます。そうすると、毎回事業の文脈を踏まえた提案が返ってくるため、会話を重ねながら粗い案を磨き込んでいけます。

資料づくりを早めるGamma

Gamma(ガンマ=プレゼン資料を自動で作るのが得意なAI)は、テーマや配色、トーンを指定することで、たたき台を素早く用意できます。最初の1枚目を作る時間を短くできる点が、忙しい起業家には助かります。

出典付きで要約するNotebookLM

NotebookLM(読み込ませた資料を要約するのが得意なAI)は、手元の資料を丁寧に読み解き、出典付きで要約してくれます。根拠をはっきりさせたいときに向いています。

AIは「丸投げする相手」ではなく「事業のことを分かっている参謀」に育てる。そんな使い方が紹介されました。

ただし注意点も共有されました。AIは事実と異なる内容をもっともらしく出してしまうこと(ハルシネーションと呼ばれます)があるため、出典をたどれるツールと組み合わせて、人の目で確認することが欠かせません。情報の管理やセキュリティへの配慮も必要です。

伝える力は「現場」で磨かれる

すべての起点は、最初の一言(フック)にあります。ここで相手に「自分のことだ」と感じてもらえるかどうかで、その先の会話が変わります。そして最後は「なぜ自分なのか」で締めくくる。原体験や使命感は、自分にしか語れない部分であり、信頼と覚悟を同時に伝えてくれます。

練習の場として一番良いのは、やはり実際の現場です。本番で相手の反応を見て、その場で言い直す。これを繰り返すことで、少しずつピッチが磨かれていきます。一人で完璧な原稿を作り込むより、人前で話して直していく方が、結果的に早く伝わる形になると実感しました。

まとめ

ビジネスポートの勉強会で学んだ、事業ピッチのポイントを振り返ります。

  • 15秒ピッチには型がある(問題→ターゲット→価値・差別化→根拠→なぜ自分)
  • 最初のフックで相手に「自分のことだ」と感じてもらうことが起点になる
  • ペルソナを実在の人物レベルまで絞ると、伝える言葉が定まる
  • AIは参謀として育て、出典で事実を補強しながら使う
  • 練習は現場が一番。反応を見て直す回数が、伝わる力を育てる

こうした学びとつながりの機会が毎月用意されているのが、ビジネスポートの女性起業家応援プロジェクトです。今後もこういった学びをこのコラムでアウトプットしていきたいと思います。